予防医療・健診

予防医療とは?

予防医療(Preventive Medicine)とは、病気を未然に防ぎ、健康を維持・増進するための医療のことを指します。従来の「病気になってから治療する」医療とは異なり、病気を発症する前に予防することを目的としています。

予防医療は、以下の3つのレベルに分けられます:

  1. 一次予防(Primary Prevention):病気の発症を防ぐ(生活習慣の改善、ワクチン接種など)
  2. 二次予防(Secondary Prevention):病気の早期発見・早期治療(健康診断、がん検診など)
  3. 三次予防(Tertiary Prevention):病気の再発防止・重症化予防(リハビリ、慢性疾患の管理など)

健診(健康診断)とは?

健康診断(Medical Check-up, Health Screening)は、病気の兆候を早期に発見し、適切な治療や生活習慣の改善につなげるための検査です。
企業や自治体が提供する健康診断のほか、個人で受ける人間ドックや専門的な検査もあります。

予防医療の具体的な種類

① 生活習慣病予防

📌 概要
・高血圧、糖尿病、脂質異常症(高コレステロール)、肥満などの生活習慣病を予防する。
・食事管理、運動習慣の指導、ストレス管理などを行う。

📌 具体的な検査・対策血液検査(血糖値、コレステロール、中性脂肪など)
血圧測定(高血圧の早期発見)
BMI・体脂肪測定(肥満やメタボリックシンドロームの評価)
食生活・運動習慣のアドバイス

② がん予防・がん検診

📌 概要
・がんの発症リスクを低減し、早期発見・治療を行う。
・特定のがんに対して定期的な検診を受けることで、治療の成功率を向上させる。

📌 具体的な検査胃がん検診(胃カメラ、バリウム検査)
大腸がん検診(便潜血検査、大腸内視鏡検査)
肺がん検診(胸部X線、CT検査)
乳がん検診(マンモグラフィー、超音波検査)
子宮頸がん検診(細胞診、HPV検査)
前立腺がん検診(PSA検査)

③ 感染症予防

📌 概要
・感染症の予防と拡大防止を目的とする。
・ワクチン接種や定期的な感染症検査を行う。

📌 具体的な検査・対策インフルエンザ・新型コロナウイルスワクチン
B型・C型肝炎ウイルス検査
HIV検査
結核検査(ツベルクリン反応、胸部X線)

④ 認知症対策

認知症は、加齢とともに発症リスクが高まる疾患ですが、決して高齢者だけの問題ではありません。現代では若年性認知症のケースも増えており、40代や50代で発症する人もいます。さらに、認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)は、適切なケアを怠ると認知症へと進行する可能性があるため、早い段階からの予防が重要です。

⑤ 骨・関節疾患予防

📌 概要
・骨粗しょう症や関節疾患のリスクを評価し、予防策を講じる。
・特に閉経後の女性や高齢者は注意が必要。

📌 具体的な検査骨密度検査(DEXAスキャンなど)
関節のMRI・X線検査(変形性膝関節症の評価)

⑥ 脳卒中・心疾患予防

📌 概要
・脳梗塞や心筋梗塞のリスクを減らすための検査を行う。
・血管の健康状態を確認し、動脈硬化の進行を防ぐ。

📌 具体的な検査頸動脈エコー検査(動脈硬化の進行度チェック)
心電図検査(不整脈・狭心症のリスク評価)
動脈硬化指数の測定(血管年齢の診断)
コレステロール・血糖値測定

⑦ 遺伝子検査・個別化医療

📌 概要
・個人の遺伝的リスクを分析し、病気の発症リスクを事前に評価する。
・パーソナライズド医療(個別化医療)に活用される。

📌 具体的な検査
がんの遺伝子リスク検査(乳がん、前立腺がんなど)
糖尿病・心疾患の遺伝的リスク解析
薬の効果・副作用を予測する遺伝子検査

予防医療・健診のメリット

メリット具体的な効果
病気の早期発見・早期治療が可能早期がん発見で治療成功率向上
医療費の削減につながる予防で病気を防ぎ、治療費を減らせる
健康寿命の延伸老後のQOL(生活の質)を向上
生活習慣病の予防糖尿病・高血圧・心疾患のリスクを低減
健康意識の向上健診を受けることで健康管理の意識が高まる